登校拒否、不登校はPTSD
登校拒否、不登校は子供のPTSDに求めることができます。登校拒否、不登校を近視眼的に見るのでなく、子供が症状を出していく経過を考えるなら、登校拒否、不登校はPTSDと断言できます。ただし、PTSDで説明しにくい登校拒否、不登校の子供もいることは確か(DSM−Wの分類が不完全なためと考えます)ですが、多くの登校拒否、不登校の子供はPTSDであると言えると思います。
以下に精神科医の用いるDSM−WのPTSDの診断基準と登校拒否、不登校の子供との関係を述べてみます。
【309.81 外傷後ストレス障害の診断基準】
A.その人は、以下の2つが伴に認められる解消的な出来事に暴露されたことがある。
(1)実際に又は危うく死ぬ又は重症を負うような出来事を、1度又は数度、または自分または他人の身体の保全に迫る危険を、その人が体験し、目撃し、または直面した。
(2)その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。注:子供の場合はむしろ、まとまりのない又は興奮した行動によって表現されることがある。
B.外傷的な出来事が、以下の1つ(またはそれ以上)の形で再体験され続けている。
(1)出来事の反復的で侵入的で苦痛な想起で、それは心像、思考、又は知覚を含む。注:子供の場合、外傷の主題又は側面を表現する遊びを繰り返すことがある。
(2)出来事についての反復的で苦痛の夢。注:子供の場合は、はっきりとした内容のない恐ろしい夢であることがある。
(3)外傷的な出来事が再び起こっているかのように行動したり、感じたりする(その体験を再体験する感覚、錯覚、幻覚、及び解離性フラッシュバックのエピソードを含む、また、覚醒児又は中毒時に起こるものを含む)。注:小さい子供の場合、外傷特異的な再演が行われることがある。
(4)外傷的出来事の1つの側面を象徴し、又は類似している内的または外的きっかけに暴露された場合に生じる、強い心理的な苦痛。
(5)外傷的出来事の1つの側面を象徴し、又は類似している内的または外的きっかけに暴露された場合の生理的反応性。
C.以下の3つ(又はそれ以上)によって示される、(外傷以前には存在していなかった)外傷と関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺。
(1)外傷と関連した思考、感情、または会話を回避しようとする努力。
(2)外傷を想起させる活動、場所又は人物を避けようとする努力。
(3)外傷の重要な側面の想起不能。
(4)重要な活動への関心または参加の著しい減退。
(5)他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚。
(6)感情の範囲の縮小(例:愛の感情を持つことができない)。
(7)未来が短縮した感覚(例:仕事、結婚、子供、または正常な一生を期待しない)。
D.(外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進症状で、以下の2つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)入眠、または睡眠維持の困難
(2)易刺激性または怒りの爆発
(3)集中困難
(4)過度の警戒心
(5)過剰な驚愕反応
E.障害(基準B、C、およびDの症状)の持続期間が1ヶ月以上。
F.障害は、臨床上著しい苦痛または、社会的、職業的または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
▲該当すれば特定せよ:
急性 症状の持続期間が3ヶ月未満の場合
慢性 症状の持続期間が3ヶ月未満の場合
▲該当すれば特定せよ:
発症遅延 症状の始まりがストレス因子から少なくとも6ヶ月の場合
登校拒否不登校をPTSDと認められない人々は、この診断基準のA.が認められないからである。それは大人の立場からA.の(1)や(2)が無いと判断しているのであり、子供の立場から言うなら、(1)や(2)の経験をしているのである。大人でも(1)や(2)の経験をしていても、PDSDにならなかったために子供の経験した(1)や(2)がPTSDになるほどのものではないと判断しているだけである。登校拒否不登校の子供達の訴えを丁寧に聞いたり、登校拒否不登校の問題が落ち着いた子供達からは(1)や(2)の経験を聞くことができる。
特に、注:の子供の場合はむしろ、まとまりのない又は興奮した行動によって表現されることがある。子供達が辛いことに遭遇したときによく見られ、その結果大人達がPTSDと関係ないと見過ごしていることである。場合によっては、子供が訴えられない、訴えても大人が聞いていない等も考慮する必要がある。この注:の条件は、子供達がいつでも登校拒否、不登校になりうることを説明していると考えられる。
また診断基準の最後にある、発症遅延症状の始まりがストレス因子から少なくとも6ヶ月の場合が子供では頻繁に見られるために、A.の条件が見落とされやすいのである。
登校拒否、不登校の子供について、B.の(1)(3)(4)(5)を満たすことは、良く経験することである。
登校拒否、不登校の子供について、C.の(1)(2)(3)(4)(5)(6)も良く経験することである。
D,E,Fは殆どの登校拒否、不登校の子供で見られている。
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