フリースペース「したいなぁ〜松戸」&松戸−登校拒否を考える会「ひまわり会」
ホーム代表者と顧問医師のコラム

登校拒否・不登校・引きこもりと医療、その医学的解釈
ひまわり会 赤沼侃史(心療内科医師)

「潜在意識の反応」

 登校拒否、不登校の子どもを観察していると、決して意識的な行動ではないことが解る。子どもは登校したいのに体が反応して学校に行けない。その結果、自分がおかしい、ダメな人間だ、病人だと判断している。

「恐怖の条件反射」

 恐怖の条件反射とは、古典的条件反射の内で恐怖を生じるものである。大脳辺縁系扁桃体が恐怖の条件反射の中枢と考えられる。扁桃体は情動を具体的に表現する脳幹の各神経核へ情報を送っている。恐怖に遭遇したとき体に現れるいろいろな変化や反応は、この神経路でなされている。ラットでの恐怖の条件付けで、音や光に強く感作されているが、入れられていた籠やその周囲にあるものにも恐怖の条件反射を生じる。人間でも思わぬ物に感作される恐怖の条件反射が見られる。この事実は、本人や周囲の人達に気付かれることはほとんどない。原因がないのに異常行動をすると、周囲の人達に判断され病気だと考えられてしまう。

 恐怖条件の複雑な刺激は、大脳新皮質の感覚野とその連合野で処理され、扁桃体と前頭葉に送られ前頭葉で主観的な認知が行われる。扁桃体は他の神経核やホルモン影響による修飾を受ける。青班核、縫線核、前頭葉の影響が大きい。それは恐怖の条件反射が修飾を受けることを意味する。現在の心理学は成熟した人間の前頭葉があることを前提にしている。子どもの脳は体と同様にまだ成熟してはいない。子どもに当てはめる心理学は、動物と共通の大脳辺縁系扁桃体と、発達過程にある前頭葉を持つ存在として考える必要がある。動物と人間は違うと言われるかもしれないが、人間の脳と動物の脳は延長線上にあり、人間の子どもの脳は類猿人の脳に近い関係にある。

「トラウマ(心の傷)」

 体の怪我だと出血する。トラウマでの出血は不適応な行動にあたる。体の怪我だと痛む、トラウマの痛みは自律神経の症状となる。トラウマを神経生理学的に言うなら、恐怖を生じる条件反射(恐怖の条件反射)である。

 条件反射は学習する段階と確立した段階に分かれる。学習する段階をトラウマを受けると言い、確立した状態をトラウマがあると表現し、恐怖の条件反射そのものをトラウマと表現する。

 条件刺激がなければ条件反射は起こさない。トラウマがあっても刺激するもの(恐怖の条件刺激)がなければ何の問題もない。ところが恐怖の条件刺激は普通の人には恐怖を起こさないが、トラウマを持つ人は恐怖を起こす。恐怖の条件刺激が普通の社会に存在するものでは、それを避けることは大変に難しい。

「性格の変化、登校拒否、不登校」

 子どもが集団生活を開始するのは、保育園、小学校である。多くの子どもは学校へ行くことを好む。それは本能的な行動のようである。子どもは家庭を基盤として集団と関わり社会性を得ていこうとする。社会性を得ることは子どもには喜びのようである。しかし、集団でつらい体験をすると子どもは家庭に逃げ帰る。家庭内で問題を解決して子どもの社会へ出ていく。しかし、子どもが回避できない嫌悪刺激に出会い、恐怖の条件反射を学習(体験)したときには、性格の変化として現れることが多いようである。

 一般に不適応行動に走る性格の変化は、子どもに問題があると考えられがちである。保護者の「しつけの問題」にされるが、子どもは回避できない嫌悪刺激により、不適応行動をとることを学習させられたのである。恐怖を用いた親の躾も子どもを不適応行動に走らす方向へ性格の変化を生じる。子どもの性格が変化したとき、集団や管理する大人から様々な拘束を受ける。その結果、子どもは回避行動をとらざるを得ない。集団が幼稚園なら登園拒否、学校なら登校拒否となる。

 学校で恐怖の条件反射を学習(体験)した子どもは、人間として自然な反応である回避の(学校に行きたくないという)行動をする。しかし、保護者との力関係(登校刺激)から回避行動を取れなくなる。子どもの心では、恐怖から逃げたい気持ちと行かなきや怒られるという気持ちが葛藤する。それが学校へ行き渋る姿である、この状態は嫌悪刺激に対する恐怖の条件反射を強化させていく。

 子どもは恐怖に慣れることはできない。さらに回避行動がとれないと、いろいろな精神症状を出すようになる。最終的に意識上では学校に行こうとしても、潜在意識の領域では行けなくなって不登校になる。登校拒否の段階で恐怖の条件刺激を取り除くのが早いほど、問題の解決は早くなる。恐怖条件の刺激性が低いし、条件刺激の汎化も起こしていない。

 恐怖刺激に出会わなければ、時間とともに恐怖の条件反射が消失していくのは動物実験でも確かめられている。実際に登校拒否の子どもを学校から隔離すると問題の解決を見ることができる。一般に、対応する人(先生や保護者)は不登校になった前後の問題を取り上げて解決しようとする。しかし原因は、もっとはるか以前の時点にある。不登校時点の出来事を解決してもほとんど役に立たない。加えて子どもは過敏になっており、神経症状や精神症状を出すために病気にされてしまう。

 先生や家族は登校刺激をする。それは新たな恐怖の条件反射を生じる要因となる。子どもが学校に行くと先生も家族も安心するが、その間に子どもは新たな恐怖の条件反射を学習し続けている。その結果、恐怖の刺激に対して感受性が増加し、学校以外の何かを新しい恐怖の刺激として学習し不登校になってしまう。だから不登校になると、子どもが何に恐怖を感じるのか解らなくなってしまう。性格の変化、精神疾患と解釈されてしまう。

「子どもに精神疾患は存在するか」

 子どもに恐怖刺激を与え続けると、いろいろな神経症状、精神症状を出すことを述べてきた。この事実から子どもには神経疾患や精神疾患は無い、あるのは人間としての自然な生理反応だけである。医師としての経験から言うと、周囲の大人達が対応を変えれば子どもの症状をなくすことができる。子どもを精神疾患だとして治療することは、子どもの虐待に相当すると考えている。

「昼夜逆転」

 1日のリズムは視交叉上核にある、松果体からのメラトニンはこのリズムの表現である。現実に覚醒するか眠るかとは直接には関係ない。情動が睡眠に大きな影響を与えている。ストレスにさらされている人では、夜になると周囲からの刺激がなくなり、心身共に楽になる。昼夜逆転を問題視する必要はない。子どもは必要なときには、きちんと起きてくる。

「子どもが自立する日はいつか」

 保護者にとって子どもが自立して巣立ってほしいものである。傷ついた心を子どもが保護者のもとで癒すことを家族が認めていても、子どもが自立しないのではと不安になる。その不安が逆に子どもの不安を増加させ傷ついた心を癒せない。子どもが自立することを願うなら家族は子どもを信頼して支えることである。そうすれば、子どもは自分で自分の心を癒して可能な限り早く自立していく。いつになったら癒せるか、それは家族の信頼(支え〉と子ども次第である。

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